魔術の基礎訓練について

by Hocuspocus

序論

魔術でも武術でもそうだが、 最初の地味な基礎訓練に体が慣れて来るまでだいたい三ヶ月位かかるものなのだ。
魔術ではリラクゼーション、 座法、 呼吸法の身体操作3点セットをこの時期に身に付ける。

初心者にありがちな誤解であるが、 これら (特にリラクゼーション) は魔術作業そのものではない。 魔術の基礎ではあるが、 魔術作業をやり易い状態に肉体と精神を保つ為のものであって、 本題はその先にあるのだ。
例えば柔道では受け身は基本であるし、 基礎体力を付ける為に筋力トレーニングを行う事も重要だ。 しかし、それら「だけ」を練習しても背負い投げは身に付かない。
魔術も同様なのだ。

従って、この時期には本来何も不思議な事は起こらないし、 起こったとしても対して重要な事では無いハズだ。
しかし、 もしもこの時期に何か重大な問題が発生するようならば、 大抵の場合、 次の2つのどちらかである。

不幸にしてその様な事態に陥ったら、 即座に魔術修行を中断し、 医者に相談するなりして問題の解決を計る事が先決である。 この様な場合、 魔術にしがみ付く事は問題を悪化させるだけで決して解決には至らないという事を心に銘記しておいて欲しい。
また、 魔術に拘わらずにきっぱりと足を洗うのも、 ある意味で魔術師として立派な行為であるのだ。 もしも貴方がそういう道を選択したとしても、 それは少しも恥ずべき事では無い。

少々キツイ話になったが、 要は基礎訓練の段階で多大な期待をするな、 という事である。 早く先に進みたい気持ちは分かるが、 たかが基礎訓練で変に焦ったところで後退はすれど進歩は無い。 例えば、 空手の初心者が早く瓦を割れる様になりたいからと言って無闇に硬い物を殴っても拳を痛めるのがオチである (下手をすると二度と突きの出来ない手になってしまう) のと同じ事だ。 多くの人にとっては退屈だろうが、 最初の内は健康法だと思って気長に行うのが良いであろう。

では、以下で個々の項目について解説しよう。

(次章に続く)


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